独身一般職(37) vs 新人リア充(20)
大野さんに話してよかった。
おかげで気持ちはだいぶすっきりとしていた。

今夜は眠れないんじゃないかと思っていたが、十分に睡眠も取ることができた。


それでも翌日は、金庫で下風代理の顔を見ると少しだけ心が揺れてしまう。

あっちもあたしの顔を見て、何かを思ったようだ。
目があった瞬間に、少しだけつらそうに顔を歪める。


いちいち気にしてもいられないし、下風代理には普段通りあたしから挨拶をした。

少しだけ緊張はしたけど、それでも気持ちだけはしっかりと保ち、あたしは彼の目を見て挨拶をすることができた。

下風代理も一瞬拍子抜けしたような顔をしたけど、すぐに挨拶を返してくれた。


あたしは大丈夫だ。
ちゃんと下風代理のことは忘れることができる。

ぽかんとしている下風代理の横で、大野さんが机の上でさり気なく親指をぐっと立てて、あたしを励ましてくれた。

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