海音

応募者は8人。
島の独身で結婚適齢期の男の人は9人。
だけど、その中の一人は来年結婚する予定。

「ぴったりだ!奇跡としか言えん!」

和おじちゃんはカップル成立100%を目指して張り切っていたんだけど…

「義昭が盲腸になった…」

参加予定の一人の義兄ちゃんが入院してしまったのだ。
せっかく来てくれる女の人達に申し訳ないと、和おじちゃんは島中を駆け回った。
駆け回った所で何も変わらなかったけど。

そこで白羽の矢が立ったのが健だ。

柏木健太郎。
私の幼なじみで、同級生。
17歳の健にお見合いなんて、和おじちゃんバカじゃないの?
健が引き受ける訳ない。
そう思ってたのに…

最初は抵抗していた健が昨日になって急に参加すると言い出した。

「健も男だし、そろそろ彼女でも欲しくなったんじゃない」

同じく幼なじみの南がニヤニヤしながら私をつついた。
南は私が健の事を好きなのを知ってる唯一の友達だ。

「私じゃダメなのかな…」

「なーに言ってんの!健は実佐子じゃなきゃダメに決まってるでしょーどうせ実佐子にヤキモチ妬かせたいとか、くだらない理由で引き受けたんだよ」

南は一生懸命励ましてくれたけど、健が私の事をどう思っているか全くわからないまま長い片想いが終わる不安が心の中をいっぱいにした。
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