海音
健とは所謂幼なじみってやつ。
幼なじみと言えば島の同世代みんな当てはまるけど、私と健は家も近く親同士も同級生で、お互いの姉も同級生って偶然すぎる間柄だったりする。
だから家族ぐるみで仲がよく兄弟同然で育った。
一緒に居るのは当たり前。
小さい頃、家の民宿が忙しい時期は健の家で生活していたんじゃないかってくらい。
それが中学生になった頃から少しずつ距離ができた気がしてきた。
姉同士は同性と言う事もあって変わらず仲が良かったけど、私と健は会話はあったけど以前の様に朝から晩まで一緒に過ごさなくなった。
まぁ健はバスケ部、私はバレー部に入って遊ぶ時間が減ったせいもあるけど。
こんな小さな島で健を好きになるのは必然で、でも告白して振られるのが怖くて何年も片想いしていた。
健がお見合いなんて考えた事もなかった。
お酒や料理を運ぶたびに泣きそうなのをこらえる。
健は女の人達に話しかけられて照れたような笑顔で応えていて、本当に誰かと付き合っちゃうんじゃないかって胸が苦しくなった。