エリート専務の献身愛
 そこに、浅見さんが申し訳なさそうに眉を下げて戻ってくる。
 ちょっと落ち着いた私は、ニコッと笑う。

「いいえ。それに、デートよりも、ちょっとした慰労会のほうがしっくりきますね」
「慰労会?」
「今回の場合だと、疲れを癒す目的ってところですかね」

 あまりデートって言われるとくすぐったいし、違和感がある。
 そうじゃなく、ただ慰めてもらっていたんだって考えたら、すごくピッタリ当てはまった気がした。

 お盆をテーブルの端に寄せ、靴を履く。
 立ち上がると、浅見さんが私を見て微笑んでいる。

「瑠依は癒された?」
「……はい」
「それならよかった」

 それにしても、神様はずいぶん奮発してくれたみたいだ。
 浅見さんの極上の笑顔を前に、ついそんなことを思ってしまう。

 先を行く浅見さんの背中について行く。
 カバンの中からお財布を取り出し、気持ちはレジに向かっていたのに、浅見さんはお会計せずに外に出てしまった。

「あっ、浅見さん!」

 日本と向こうでは外食店のシステムって違うのだろうか。

 おろおろしながら、浅見さんを追い掛けたかったけれど、私まで出てしまったらそれこそ無銭飲食だと思われる。
 慌てて姿を現した店員さんに声を掛けた。

「あっ。すみません! お会計をお願いします!」
「あ、あちらの席でしたよね? お連れ様がもうお支払いしてくださっていますよ。どうもありがとうございました」
「えっ……あ、そ、そうですか。すみません。ごちそうさまでした」

 開きかけたお財布をそのままに、急いで暖簾を通る。

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