人事部の女神さまの憂いは続く
そのお兄さんを2度目に見かけたのが意外な場所だった。
夏休みから予備校に通っていて、授業後にわからないところを講師室に質問に行った時のことだった。オープンなスペースでそれぞれの先生が座っていて、質問しようと思った先生の隣にいたのが、この前のお兄さんだったのだ。
「あっ!」思わず声が出てしまうと、そのお兄さんも私に視線を向け、向こうも「あっ!」と同じようにびっくりしていた。
「この前はありがとうございました!」
すぐにお礼を言うと
「まだ2年生だったんだ」
私が持っていたテキストを指さしている。なんでだろう、と思って首をかしげていると
「あんまりにも真剣に選んでたから浪人生かと思ってた」
苦笑いをされてしまった。悲壮感漂っていたのかな、とショックを受けていると
「でも2年生であの参考書ちゃんとできたら、充分じゃないかな」
フォローなのか励ましなのかよくわからない言葉をかぶせられた。