人事部の女神さまの憂いは続く

「いやー、面白いね。でも、様は勘弁して。ほんとは、まーくん♡とか呼んで欲しいとこだけど、真人でいいよ、真人で」

そう言ってさりげなく私の膝をポンポンと触ってくるあたり、本当に信用ならない。いい年してなにが、まーくんだ、と心の中で悪態をつきながら

「そんな、恐れ多いです。波木さん」

無難なところに話を落ち着かせようとしたけど、相手は一枚上手だ。

「んー、なんか波木ってさ、普通っぽくって面白くない男って感じの響きするじゃん。だからさ昔っから、苗字より名前で呼ばれる方が好きなんだよね」

どこまでほんとかわからないような話をしょんぼりしながら話されると、もうどうでもよくなってくる。

「そうなんですね。では、恐れ多いですが真人さんと呼ばせていただいてもいいですか?」

そう問いかけると、うんと子どもみたいな笑顔で返される。

その顔が意外でびっくりしていると、どうやら目的地に着いたらしい。

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