人事部の女神さまの憂いは続く
「そう。山本には言ってあっただろ」と言うと
「冗談かと思ってた」
ほんとにびっくりしたような顔の山本が目に入る。
とにかく、このまま連れて帰んないとと思っていると、急に真人さんがあはははは、と大声を出して笑い始めた。そして
「いやー、まじか。ゆりちゃん、まじで気に入ったんだけど。藤木にはもたいないって。ほら、ゆりちゃん。こんな結婚してるくせにコンパ来て女といちゃついてるような女タラシなんてやめて、俺にしときなよ。俺、こいつと違って一途だよ」
言いながらニシユリの手を握ってやがる。ニシユリを見ると、まんざらでもなさそうでイラッとしたけど
「女遊びなんてやめたって散々言ってたくせに」
なんて淋しそうな声を聞いたら胸を押しつぶされたような衝撃を受けた。呆然としている俺をよそに
「こいつそんなこと言ってたの。かわいそうに。ゆりちゃん、俺、バツがついてても気にしないよ」
なんて真人さんが本格的に口説きモードになっている。