人事部の女神さまの憂いは続く
*side侑里*
「帰ったよ」
扉を開けながら香織さんにそう声をかけられたけど、胸が締め付けられたまま動けなかった。すぐ隣の部屋だから、さっきの藤木さんの会話は全部聞こえてた。
「私のせいで、藤木さん、あんな・・・」
「いや、まだほだされちゃダメでしょ。もうちょっと、ふじっきーに考えさせないと。このままうやむやにしちゃったら、また同じこと繰り返すよ」
香織さんの言葉は最もなのかも知れない。
「はい。でも私も反省したんです。私の知らない藤木さんの世界に嫉妬してただけなのかもって」
考えていたことを話すと
「そっか。ゆりも、ちゃんと考えたんだ。でも、あんなヘタレなくせに俺様で女癖も治ってないかもだけど、いいの?」
茶化したように聞いてくる香織さん。それに苦笑いを返しながら
「女タラシはやなんですけど、なぜだかあの俺様な暴君がいいんですよね」
というと思いっきり笑われた。