人事部の女神さまの憂いは続く
「ゆり、起きろ」
「やだ」
横から離れそうになっているぬくもりにすり寄っていくと、ぎゅっと大好きな香りに包まれる。それに安心して再び眠りにもどろうとしていると
「だから、起きろって」
不機嫌そうな声が耳に入る。
今日は久しぶりにゆっくりできるお休みなのにと思って、温もりを離さないように頭を擦り付けていると、おいっという声とともに唇がふさがれた。気持ちよくって夢見心地で藤木さんの唇を味わっていると
「あー、もう、ホントお前なんなの。どうやったら、まともに起きてくれるんだよ」
おでこをペシッと叩かれた。
「もうちょっと、チューしたかったのに」
不満を口にすると、はぁ、と大きなため息が聞こえてくる。
「とにかく起きろ」
その言葉を残してベッドを後にする藤木さん越しに時計が目に入って不思議に思う。