人事部の女神さまの憂いは続く
「あれ、ゆりちゃん?」
預けた手荷物をターンテーブルにとりにいった藤木さんを待っていた時に掛けられた声。この声を聞いてびっくりした。視線の先には、あの頃より年を重ねているものの変わっていない優しい眼差し。
「りゅう先生?」
「そう!覚えてくれててよかった。すっかりキレイなお姉さんになってるね」
「りゅう先生こそ。覚えてくれてて嬉しいです。うわぁ、何年ぶりだろ」
「ゆりちゃんが大学入った年以来でしょ。いくつになった?」
「もう29です。だから10年以上ぶりですか?」
「そっかぁ、そりゃ立派な大人になってるよね」
言いながら頭にポンと手がのせられた。