人事部の女神さまの憂いは続く

「立花さん、驚かせてすみません」

そう声をかけると、おもむろに両手を握られ

「ニシユリ、こんな鬼畜と無理に結婚することなんてないんだ。子どものことが心配なら、俺らも力になるから」

妄想が本当だったら心強いことを言ってくれているものの、残念ながら事実じゃない。そろそろ、ちゃんと話してよ、という思いを込めて藤木さんに目で助けを求めると

「大輔。まず、その手離せ」

ペシっと私の手を握っている立花さんの手をはたいた。それを見て

「うわ、ふじっきー独占欲?」

とうとう声に出して笑い出した香織さん。

「香織、笑ってる場合じゃないだろ」

そう突っ込んでいるものの

「ほんと大輔はかわいいんだから」

と言う香織さんに大人しくなって頭を撫でられている。この状態で何をどうやって説明すればいいんだろう、と途方に暮れていると

「ガキは出来てないし、ニシユリもちゃんと納得してる」

飲みながら、ぶっきらぼうに言い放つ暴君。どうやら、ちょっぴりご機嫌ナナメのようだ。

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