人事部の女神さまの憂いは続く

「ほんとは、こっそり靴の中に入れといてって頼まれたんだけど・・・」

そこまで言うと、唇をかみしめながら、今にも泣きだしてしまいそうな表情になり、ギュッと掌の中のコインを握りしめている。

それを見て思ってしまった。

もしかして、まだ、侑里は・・・・


柏木さんとおんなじ気持ちなんじゃないか?

この2人、まだ想いあってるんじゃない?


そんな考えが湧いてきて、なぜか俺の鼓動がドキドキと早くなってくる。

やばいことしちゃった?

やっぱり、柏木さんが言った通り、侑里には言わずこっそりの方がよかったのか?

目の前で尚も大事そうにコインを握りしめている侑里に

「なぁ、もしかして、侑里まだ柏木さんのこと・・・・」

そこまで口にしたところで、思いっきり言葉をかぶせられた。

「違うよ。違う、そんなんじゃないよ」

ほほ笑みながら、あの時、これを渡してくれた柏木さんと同じように愛おしそうな顔で否定する侑里の顔を見てしまうと、俺には言葉通りだとは思えない。
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