人事部の女神さまの憂いは続く
「嘘つけ。だって、その顔」
たまらずにそう言うと
「何、顔変?」
ペタペタと片手で顔を触っている。そういうことじゃねーんだよ、と無性にイライラしてしまって
「なぁ、なんで別れたんだよ?好きなんだろ?」
余計なことを言ってしまった。言ってしまってから、すぐにしまったって思ったけど、どうしょうもない。
明日、挙式を控えた姉に言うべき言葉じゃない。
だけど、言わずにはいられなかったんだ。
尊敬する柏木さんのためにも、兄と慕う崇兄さんののためにも、大好きなねーちゃんである侑里のためにも。
俺の思いを感じ取ってくれたのか、侑里がぐっと俺の手を握った。そして2人で、みんなに背を向けて海の方を眺めるように並んだ。
「ごめんね、ちゃんと話してなくって。巧、これからもずっとお世話になるのに」
「いや、別に。まぁ、そーだけど」
意味のわからない言葉を返しながら、話の続きを待っていると、侑里が大きく息を吐き出してから話し始めた。