人事部の女神さまの憂いは続く

「藤木さん、ほんと侑里もらってくれてありがとうとございます」

そう言って頭を下げている巧。もらってくれてって言いぐさが何気にひどいな、と思いながらその頭を小突くと、いてっと言いながら

「ほんと、よかった。このまま行き遅れ確定だと思ってたから」

さらに失礼なことを言ってくる。

「巧、ひどっ!自分だって人のこと言えない癖に、エラソー」

ツッコミを入れていると

「巧、モテそうなのにな」

と言いながら藤木さんはゲラゲラ笑ってる。

「その似合わないヒゲ、どうせ女の子に言われたんでしょ」

追い打ちをかけるように指摘すると、うっと一瞬ひるんだものの

「そうだよ、悪いかよ。大人の男っぽいだろ」

自信満々に言い返してきた。童顔の巧には似合ってないのに、とおかしくなって笑っていると、バカにすんなよ、と不貞腐れている。

そんな私たちのしょうもないやり取りを見ていた藤木さんは

「うん、でもやっぱり巧にはちょっと早いんじゃない?」

玄関と同じことを言っている。
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