人事部の女神さまの憂いは続く
よかった。
暴君の怒りモードはよくわかんないから。ほっとしながら、焼酎グラスを手渡すと
「サンキュ」
大きな手と重なって、キュンとする。やっぱり好きだな、と思って眺めていると
「初めて侑里の家で会った時も思ったけど、なんか熟年夫婦みたいだよね」
よくわからないことを巧が言い始めた。
「熟年夫婦?なんか嬉しくないんだけど」
「いや、あうんの呼吸的な?あの時、侑里は付き合ってないって言ってたけど絶対違うと思ったもん」
どうだと言わんばかりのドヤ顔。
でも実際付き合ってなかったんだよな、と思いながら藤木さんに視線をやると、ちょっと考えるような仕草をしている。そして不意に、ニヤっとこっちを見て笑ったかと思うと
「いや、付き合ってなかったよ。だって、こいつその時他の男に夢中だったから」
とんでもないことを言い始めた。