恋文参考書
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あのあと、手を繋いだままだったと気づいてしまった金井にあたしは手を振り払われて。
ひどいなぁと思いつつ、まぁ気にしてしてもどうにもならないし。
詩乃と戸川をなんとか振り切れたことだしラブレターの練習をしよう! という話になった。
そして今度はあたしが金井の前を歩いた。
周りの視線が突き刺さるのを感じて、あたしたちは早足で校舎の外へ。
そうして着いたのが、今いるここ。
別館にある古い図書室だ。
普段授業を受けている校舎にも図書室はあるんだけど、資料や古い本はこっちにある。
古びた表紙が静かなここに並んでいる光景は結構お気に入り。
冬はきんと空気が冷たくなって、ページをめくりにくいほど指が冷えてしまうんだけどね。
前部長と後輩ふたりくらいしか利用していないから気軽に訪れられるんだ。
集中して原稿が進められるから、ここで作業をしていたことが何度もあるし、慣れたもんだよ。
一応誰かが来てもいいように、1番奥の本棚が影になってよほどのことがない限り見つからない場所に腰をすえた。
それでまぁ、とりあえず、なんでもいいから文字にしてみよう! ということで。
薫先輩へのラブレターをためしに書いてみて欲しいとお願いしたんだけど……。