愛をください

病院での手続きをした

あとは手術の日まで

安静にすること

お腹には赤ちゃんが

生きてるのだから…

つわりが酷くても

あたしは学校を休まずに行った
でも思った以上につわりは

酷かった

授業中に吐き気がして

トイレに駆け込んだり

保健室をよく使うようになった
友達は心配してくれた

そして決してどぅしたの?とは

聞かなかった

きっと気づいてたけど

知らないふりをしてくれてたんだ

そんな友達に支えられ

あたしは手術の日を迎えた

朝から用意をして

仕事を休んでくれた雄一と

病院に行った

雄一はずっとそばにいて

手を握っててくれた

あたしに麻酔がかかるまで

眠るまで手を握っててくれた

あたしの耳にはカチャカチャという

手術器具の音が離れなかった

その音で目を覚ました

でももぅ手術は終わっていた

そしてベッドの横で

雄一は手を握っててくれた

な「雄一…ありがとう」

雄「な…ち…なち!大丈夫か??痛くないか??」

な「大丈夫だょ。ずっとついててくれたんだね。ありがとう」
雄「よくがんばったな。えらかったぞ」

あたしは流れてくる涙を

とめられなかった

その涙を雄一が拭ってくれる

あたしは雄一がいてくれれば

なにもいらない

雄一を愛してる

そう思えた

赤ちゃん、ごめんね

ワガママを許して

点滴が終わり

痛いお腹をさすりながら

雄一の家に帰った

そして夜、

子宮収縮の薬を飲んだ

子宮が悲鳴をあげる

あたしはお腹が痛くて

冷や汗をかき

苦しみに耐えていた

やっぱり雄一は

手を握り、お腹をさすってくれていた

な「雄一の手は魔法の手だね」
雄「なんじゃそりゃ」

な「雄一が手を握っててくれるとね、安心するの。雄一がお腹をさすってくれると心が楽になる。愛してるょ」

雄「俺も。なちがいなきゃ俺ダメなんだ。誰よりもなちを愛してる」

そうしてふたりで乗り越えた

ふたりだから乗り越えられた
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