好きになれとは言ってない
 



「それでは、ありがとうございました」

 母親も出て来て、家の前で一緒に挨拶をする。

「失礼します。
 お母様もぜひ、一度、遥さんと遊びにいらしてください」
と車を降りていた真尋が言い、航が、

「それでは失礼します。
 遅くまですみませんでした」
と頭を下げた。

 二人を愛想良く見送ったあと、母親が言う。

「お母さんは、課長の方かな~」

「えっ?」
と遥は振り返った。

「あんた、どっちが好みなの?」
と遥とよく似た顔で母親は笑う。

「どっ、どっちって……。
 どっちもそんなんじゃないし、真尋さんは今日初めて会ったんだし」
とごにょごにょ言っていると、

「そうかー。
 遥も課長の方かあ」
と何故か、勝手に決めつけ、

「親子で好みが似てるわねえ」
と笑いながら、さっさと中に入っていってしまう。
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