好きになれとは言ってない
真尋の車は濃紺のクラシックな感じの車で、あまり見ない型だった。
新車ではないと言っていたが、よく手入れされているせいか、ピカピカだった。
助手席には航が座り、遥はひとり、後部座席に座っていた。
帰りは駅の方を通らなかったので、ますます、店の場所はわからなくなった。
車内では主に真尋が話して、航が相槌を打ち、遥が笑う、という感じだった。
しかし、こうして後ろから見ていると、やっぱり似てるな、と遥は話している二人の顔を窺う。
ということは、大魔王様も筋肉をつけるのをやめたら、ああいう繊細な美貌になるのだろうか。
いや……ないな、と遥は後部座席でひとり笑う。
大魔王様は、性格が顔に出ているというか。
ざっくり、という感じだ。
笑っている遥を、ちらと真尋がバックミラー越しに見ていた。