好きになれとは言ってない

 



 真尋の車は濃紺のクラシックな感じの車で、あまり見ない型だった。

 新車ではないと言っていたが、よく手入れされているせいか、ピカピカだった。

 助手席には航が座り、遥はひとり、後部座席に座っていた。

 帰りは駅の方を通らなかったので、ますます、店の場所はわからなくなった。

 車内では主に真尋が話して、航が相槌を打ち、遥が笑う、という感じだった。

 しかし、こうして後ろから見ていると、やっぱり似てるな、と遥は話している二人の顔を窺う。

 ということは、大魔王様も筋肉をつけるのをやめたら、ああいう繊細な美貌になるのだろうか。

 いや……ないな、と遥は後部座席でひとり笑う。

 大魔王様は、性格が顔に出ているというか。

 ざっくり、という感じだ。

 笑っている遥を、ちらと真尋がバックミラー越しに見ていた。





< 29 / 479 >

この作品をシェア

pagetop