好きになれとは言ってない
 




 遥の方は心配ないか、とすごい勢いで居なくなった遥を見送りながら、亜紀は思う。

 しかし、すたこらさっさって、こういうのを言うんだな、と思って、笑いそうになる。

 遥と居ると、こういうことがよくある。

 笑ってしまって、追求できなくなるというか。

 まあ、遥は新海課長にメロメロのようだから、小宮は関係ないか、と思う。

 ……遥自身に、新海課長を好きという自覚はまったくないようだけど。

 新海課長が好みなら、チャラい小宮には興味ないはずだし。

 それにしても、二人で倉庫に居て、あの小宮がキスのひとつもしないとは。

 遥が好みじゃないというわけでもなさそうなのに。

 新海課長が怖いからか。
 それとも……と考えたあとで、あほらしい、と自分で思う。

 もうなにも関係ないのに。

 そんなことを考えながら、給湯室から出たら、ちょうど航と出会った。

 うーん。
 いい男だが、私から見たら、面白みにかけるんだけどなー。

 遥に言ったら、
『そんなことないですっ』
と猛反発することだろうが。

 こういう朴念仁みたいな男でも、遥と上手くいってそうなのに、自分はなにやってるんだろうな、と思う。
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