好きになれとは言ってない
 ちょっとでも後をつけたりしたら、どっかのスパイかスナイパーみたいに、すぐに気づいて、
『私の背後に立つなっ!』
とか言いそうだからだろうか。

「……なに笑ってんの?
 まあ、遥ちゃん、発想が普通じゃないよね」
と断言される。

「そもそも今の話、最初から間違ってるから。
 男が守りたいものって言ったら、普通は女の子でしょ。
 あとは、奥さんとか家族とか。

 それから、さっきみたいに、俺、こう見えて、コンパとか嫌いなんだよねとか言われたら、あら、私に誠実なところを見せようとするなんて、口説かれてるのかしら? とか思わない?」

「思わないです」
とあっさり言うと、

「うん……そう。
 なるほどね……」
とだけ言って、真尋は残りの皿やカップをしまい始めた。







< 88 / 479 >

この作品をシェア

pagetop