好きになれとは言ってない
 そのとき、砂糖の入った小洒落たガラスの器の陰にあるものに気づいた。

「これ、遥の携帯じゃないのか?」
と淡いピンクのそれを見ると、

「中、見ちゃ駄目だよ」
と手を触れるより早く真尋が言ってくる。

「別に見ない」
とは言ったが、実は気になっていることがあった。

 みんながコンパに参加させてくれと言ってくるので、今、自分の携帯には新しく登録された番号やアドレスがいっぱいだ、的なことを遥が言っていたことだ。

 それは、もちろん、男の番号やアドレスも含まれているのだろう。

 というか、そもそも、遥目当てにコンパに参加する奴が居るんじゃないのか?

 それか、遥に携帯の番号を教えるのが目当ての奴とか、と考えていると、真尋がふいに顔を上げた。

 その瞬間、すごい勢いで扉が開く。

「すみませんっ。
 真尋さんっ。

 携帯忘れてないですかっ、私っ」
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