好きになれとは言ってない
 遥が俺に気がある?
 そんな風にはまったく見えないが。

 今日だって、俺よりは、ケーキに気がある風に見えた。

 だが、
「いや、あれは絶対、兄貴が気になってるって」
と笑いながら軽く真尋は言ってくる。

 この弟にとっては、好意を抱かれることも珍しいことではないのだろうが、自分にはないことだったので、そんな莫迦な、と思ってしまう。

 それもあの古賀遥がか?

 これを言うと、真尋は、
『誰もなにも言ってこないのは、兄貴がなんか怖いからだよ。
 好きです、とか言ったら、銃殺されそうだもん。

 もうちょっと軟派な感じになったら?』
と言うのだが。

「だって、此処数日で急接近じゃない」
と言われ、

「……いや、あの女、猛烈な勢いで俺を騙そうとしてるんじゃないか?」
と疑心暗鬼になりながら、言ってしまうと、

「それ、その外見の人が言うセリフじゃないと思うんだけど……」
と真尋は言う。
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