泥棒じゃありません!
写真を見つけたのがもし男性だったら、タオルで隠れているとはいえ裸を見られるのは嫌だなと、私はその程度にしか考えていなかった。
うちの社内でも何度もSNSの危険性について注意をされてきたというのに、なぜそこまで考えが至らなかったんだろう。
『見通しが甘いんだよ』
かつての上司の言葉が、頭に響いた。
――ああまったく、本当にそのとおりだ。
「ハウスクリーニングの人も不動産屋も気づかなかったとしても、もしかしたら新しい住人がそれに気づくかもしれないよね?」
「……どうしよう」
半泣きで言うと、メグは盛大にため息をついた。
そして名案を思いついたとでも言いたげに持っていた箸先を上に向け、ニヤリと笑みを浮かべた。
「取り戻せば?」
「え……?」
「もしかしたら手遅れかもしれないけど、一か八かで、足掻いてみてもいいと思う」
メグは店員を呼び、飲み物の追加とアボカドサラダを頼んでいる。
でも……取り戻すって、どうやって。
「だって、もう次の人が入居しちゃってるかもしれないし、鍵だってこの間不動産屋に返してきちゃったし」
秀樹と住んでいたマンションは、単身向けというよりどちらかと言えばファミリー向けの物件だった。目の前が交番ということもあるからか鍵も至ってシンプルで、特別厳重なセキュリティもついていなかった。
「……美緒里、あんた鍵で入ったら不法侵入で捕まるよ?」
「そうだよね、交番目の前だし」
その前に普通は住人が変われば鍵もつけ替えるだろうから、たとえ私が鍵を持っていたとしてもおそらく開かないだろう。
「……あのね、目の前じゃなくても捕まるから」
メグは呆れ顔で言う。
「じゃ、どうすれば……」
「そうねぇ。やっぱり無難に現住人にお願いするしかないかもね」
「ええー……」