範囲指定ゲーム
「ねぇ、どっかで見てるんでしょ? 出てきなさいよ」


美夏が天井を見上げてそう言った。


監視カメラの存在があると思いっているようだ。


「そうだよ。もうゲームは終わったんだし、早く帰りたいんだけど!!」


真子も同じように声を上げる。


友香はステージ上へと視線を向けた。


男はいつもここに立って、みんなにゲームの指示を出していた。


友香はゆっくりとステージに近づいていく。


数日前、みんなで考えたことを思い出す。


会議室の中だけじゃ生きていく事はできない。


男は必ず会議室から出て来るはずだ。


だけど、男がこのステージ上と会議室以外で姿を現す事はなかった。


今日の、今朝までは。


友香はステージに手をかけて、袖に視線を向けた。
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