範囲指定ゲーム
だけど、大志にはどうすることもできない。


大志がここへ連れてこられたときには、すでに兄である良は首を吊って死んでいたのだから。


「最低……」


真子が呟くようにそう言った。


その目には怒りが込められていることを、大志はしっかりと認識していた。


この3人は俺の事を憎んでいるだろう。


それこそ、いますぐここで殺してしまいたいほどの憎しみだろう。


だけど、俺を殺す事はできない。


大志は天井を見上げた。


この体育館の天井には無数の監視カメラが設置されている。


ネジ穴よりも小さなもので、肉眼では相当近づかないと確認できない。


それと同じくらい小さなレーザーがいくつも設置されているため、どんな角度からでも特定の相手を仕留めることができた。


この2つは校舎の至る場所に設置されているものだった。


俺が相手をかばって見ても、レーザーは的確に殺したい相手を殺す。


俺には何もできなかった。


「じゃぁ、最後のゲームを始めようか」


俺はそう言い、パソコンへ視線を向けたのだった。
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