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いや、でも正確には違っていた。


戸川先生よりも背が低く、体も細い。


その顔だけが、そっくりなのだ。


「俺の名前は戸川大志。戸川良の弟だ」


その言葉にひどいメマイを覚えた。


その場に膝から崩れ落ちてしまいそうになるのを、グッと踏ん張る。


どうして戸川先生の弟がこんな事を?


戸川先生はこのことを知っていたの?


色々な疑問が浮かんできても、一つも言葉にならなかった。


衝撃が大きすぎて目の前が歪んで見える。


「自分の……お兄さんを殺したの?」


美夏が震える声でそう聞いた。


「あぁ。まさか兄さんのクラスが来ると思わなかったけどね」


大志はそう言い、頭をかいた。


さすがに自分の兄が死んだときは衝撃を受けた。
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