範囲指定ゲーム
スピーカーを通して男のそんな声が聞こえて来た。


高くもなく低くもない男の声。


寝起きのようにくぐもったその声からはなんの感情も読み取る事はできなかった。


美夏が友香の手を握りしめ、友香はその手を握り返した。


何か嫌な予感がする。


体の奥から危険信号が発せられるのが自分でわかった。


「ゲ……ゲームなんてしてる場合じゃないんだよ! 先生が死んだんだ!!」


心太朗が大きな声をあげてそう言った。


「あぁ……。それは俺が『範囲指定』したからだ」


男がなんでもないような口調でそう言い、クラスメートたちはざわめいた。


この男が範囲指定したから先生が死んだ?


意味がわからない。


意味はわからないけれど、目の前に立っている男が正常ではないのだと言う事は理解できた。


「で、その『範囲指定ゲーム』を、お前らにやってもらう。お前ら、全員で34人だよな? どうやってグループ分けしようか?」


ポリポリと腰あたりをかきながらそう言う男。
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