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スピーカーを通せば確かに声は大きくなるが、街まで届くとは思えない。


「でも……」


「この近くの道路を通る車に聞こえれば、それで助けが来るかもれないでしょ?」


美桜は目を輝かせてそう言った。


そうかもしれない。


だけど、ここへ来るためにあたしたちは1時間も歩いて来たのだ。


道まで声が届くとも思えなかった。


だけど美桜は期待に胸を膨らませている。


その様子を見て、桜はゆっくりとほほ笑んだ。


最初から無理だと決めつけていては、助けなんていつまで経っても来ないかもしれない。


「美桜の言う通りだね。やってみよう」


桜はそう言い、自分のチームのメンバーも誘って屋上へと向かったのだった。
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