不安の滓
 俺は急いで家に戻った。

 戻りながら、我が家に侵入した人物を考えた。
 そして、すぐにある人物に思い当たった。
 それは――俺の前の妻、『愛子』だ。

 愛子ならば、まだ家の合い鍵を持っている可能性が高い。
 俺たちが仕事に出掛け、家を留守にしている間に侵入していたのだ。

 そして、家にあるものを勝手に盗み出していた。

 ビールも、ツマミも、恐らく保健証も。
 今回の小包を盗んだのも――きっと愛子に違いない。
< 21 / 66 >

この作品をシェア

pagetop