恋はたい焼き戦争


次の日、私は部活が終わってすぐ勇輝君の家へと向かった。


海外から帰ってきているなら、家にいるはず。



インターフォンを鳴らすと想像通り勇輝君の声が返ってきた。





「はい」

「勇輝君?私。
ちょっと話したいことがあるの」

「…わかった、待ってて」





しばらくして、大きな立派な家のドアが音を立てて開き少し不機嫌そうな勇輝君が顔を覗かせた。


私が頭を下げると、門を開けて出てきてくれた。





「なに、話って」

「もう、学校には来ないでほしいの」

「…どうして?僕もお喋りしたかったのに」





どうして、なんて本人が一番わかってるはずでしょ、そう思うけど今日は言い合いをしに来たわけじゃない。





「みんなにあんなこと言って…」

「本当のことでしょ。
将来何の役に立つの?俳優にでもなるつもりなわけ」

「将来…」

「鈴は僕と一緒に来てロンドンに住むんだ」





将来を、他人に決められてしまうことに恐怖を感じつつも拒否できない。


拒否できないけど…





「…」





肯定もしたくない自分がいて。


自分の中でも迷っていて葛藤していて。





「佐和田組が…どうなってもいいのかな鈴は」





だけどそう言われちゃうともうどうしようもなくて。


従うしかないって、ただそう言い聞かせるしかなくて。





「…わかってる」

「良かった。
どれだけ低レベルの学校に通う鈴でもこれくらいはわかるもんね」





この人は、私との婚約をどう思っているんだろう。


所々感じる馬鹿にされているような口ぶりと視線。



この人に私と結婚することでメリットがあるのか、はたはた疑問で仕方ない。





「もう鈴の学校には行かないよ」

「…ありがとう」

「その代わり」

「…え?」

「鈴も部活はやめて」
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