恋はたい焼き戦争
「こんな時間にこんなところで、そんなに焦って顔も真っ青で…何があった?」
勇輝君に抱きしめられて初めて疲労が押し寄せた。
足はとっくに限界に達していたのか立っていることもままならず、その場に倒れ込んでしまう。
心臓が張り裂けそうなほどバクバクと脈打つ。
これは走ったから?
それともバレてしまったから?
どちらにしろ、私の体は全身で悲鳴をあげていた。
「バレ…、バレたの。
私が佐和田組って…教室の黒板に…私、どうすることもできなくて走って逃げてきちゃって…でも、私もう…」
「わかったよ。大丈夫」
「私…、知られたくなかった…
う、ぅぅ…うゎぁぁ…」
「大丈夫だよ、大丈夫」
頭を撫でる手が優しくて、思いっきり体を預けてしまう。
「勇輝君、勇輝君…」
気付けば私は自分から勇輝君の背中に手を回していた。