恋はたい焼き戦争


昴とバトン練習を続けていると招集がかけられて急いで向かう。





「あ、ヤバイ!早く行こ!」





入場口に行くとあかりがずっと下を向いていた。





「あかり?」





と背中に手を当て声をかけるとはっと顔をあげて笑顔に戻る。





「あっ、ごめんごめん…緊張しちゃって!
転けちゃったらどうしよう~」





うわーんと私にもたれかかってくる。


大丈夫、大丈夫!と励ましながら戦場に向かう。


どくどくと全身が揺れるのを感じて慌てて深呼吸をする。


足が震えないよう、固まらないよう動かし続ける。


私がバトンを受けるのはあかりから。

そしてそのバトンをアンカーである昴に託す。


あかりと昴は半周向こう側の場所に腰を下ろしている。


全員が入場し終わった…もうすぐ始まる。



ばんとスターターピストルの音がして次いで走る音がどんどん近付いてくる。


第一走者の男の子からあかりに上手くバトンが渡された。


私は立ち上がって足を動かす。


後ろからその子が来て頑張れと応援してくれる。


順位は5組中3位。


でも2位の子とはそんなに離されてないしバトンの受け渡しで抜かせるかも…!


逆に4位の子とは大分離れてる。行けるよ!!





「あかりーー!頑張れ!!」





私もレーンに入り、たまらず大声で叫ぶ。


来い、来い。





「鈴!」





2位の子とほぼ同時!


なのに、あかりはぶつかって倒れてしまった。


バトンを渡し終えた2位の組の子があかりの前を通ろうとしたのだ。


でもその時は何が起こったか分からなくて、ただ目の前にあかりが倒れてて。


すぐに立ち上がったあかりからバトンを受け取って全力で走る。


順位は変わらないものの大分差が離れてしまった。


何としても追い付かないと…昴に繋げないと!!


そんな想いで前の子の背中を必死に追いかける。


だんだんと近付いてくる。

絶対に負けたりしない。





「頼んだよ!!!」





何とか2位の子と並んで昴にバトンを繋いだ。

私が出来るのはここまで。


あとは昴に任せる!





「凄い…」





昴はぐんぐんとスピードをあげて2位の子はおろか、ずっと前にいた1位の背中までもとらえる。


勝つかもしれない…


問題は距離だ。

もっと距離があれば確実に抜かせる。

でもゴールはすぐそこで。


もう祈るしかない。頑張って…





「5色対抗リレー、今年も接戦でした。優勝は…緑色です!!」





わーーっと盛り上がる。

あかりの顔はもう涙でぐしゃぐしゃになっていた。


背中をさすりながらクラスの男子に胴上げされている昴を一緒に見つめる。


部活対抗リレーではあんな走りしてなかったのに…


不覚にも格好いいと思ってしまった自分に少し腹が立つ。


ただでさえ顔も格好いいのに…


下ろされて皆に囲まれた昴はいつもと違って王子様スマイルで話している。


隣のあかりもすっかり泣き止んでほわーんとした顔で昴を見ていた。

< 46 / 136 >

この作品をシェア

pagetop