恋はたい焼き戦争


休みが明けて学校へ行くと





「体育祭、花園高校の生徒会長が来てたんだって!」

「私、話したよ!」

「あの優等生…みたいなクールな感じが素敵よね!」





1つの話題で持ちきりだった。


また、そこから派生してなのかある噂が広まっていた。


転入してきた紺野 昴は森ノ宮学園高校にお嫁さんを求めてきた…兄である紺野 匠も昴に似合うような人を探していた…


そんな内容だ。


まあ、根も葉もない噂だとは思うけど…


でも何で昴はこんな高校に転入してきたんだろう?

元は花園高校にいたんだよね?


そう思っても簡単には聞けない。


昴と匠さんは秘密を抱えてる。

多分、家柄が関係してる。


そんなところに全くの第三者が入れる隙なんてない。


実際、私だって言うつもりもなかったし…。


秘密っていろんな種類があるよね…


誰にも知られたくないこと。

他の周りには知られたくないこと。

親しいからこそ知られたくないこと。


そんな秘密が1つの人もいればたくさん抱えてる人もいる。


話せば楽になるものもあれば話すことで辛くなるものだってある。


だから私は他人に必要以上の干渉はしたくない。


今回のことだって何も荒立てず波に任せていよう。


話したくなったときに真剣に聞こう。


私はそんな風に決意をしているけど他の子は皆知りたがる。





「ねー、昴君!あの噂…本当なの?」

「もしかしてぇーもうお嫁さん候補決まってたりして?」

「私、立候補したーい!!」





きゃははと思いっきり女の子アピールをして昴に詰め寄っている。


私はそれをどこか悲しく思いながら席についた。


昴はどこにいてもこんな扱いを受けていたのかな?


いるのは昴が自分で作った偽物の昴なのに。


あれ…私がこんなに悲しく思うのってあの歌詞と似てるからなのかな…。


【右を見ても左を見ても
上を向いても下を向いても

あるのは鎖で繋がれた自分。

いつからこんなものが生まれた?
誰がこんなものを作った?


目の前の君が喋っているのは
本物(ぼく)じゃない、偽物(ぼく)なんだ。

本物(ぼく)が話せば不幸になって
偽物(ぼく)が話せば笑顔になる。

それならば、こんなの2択であって1択だ。

今日も僕は皆の望む仮面をつけて生きよう。

この仮面が仮面で無くなるほどに。



♪自分であって自分でないような
そんな悩みを抱えてる

君が笑いかけるのは
本物(ぼく)じゃないって分かっているのに
改めて気付かされる辛さ


偽物(ぼく)が本物(ぼく)を覆い尽くす感覚を
本物(ぼく)がなくなる感覚を


笑顔を作り泣き顔を隠し
じゃらじゃらの鎖を引きずって

朝日を迎え夕日を見送る


大丈夫、大丈夫さ

僕は今日も1歩1歩前へ進んでる

いつか来る自由へ向かって

本物(ぼく)も偽物(ぼく)もまとめて僕になる日へ向かって


さあ、また足を踏み出そう♪】


ふと、これが頭の中で流れる。


先生の言葉は右耳から入ってすぐ左耳から抜け出ていく。

でもそんなことも気にせず私はただ、この曲を思い出していた。

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