恋はたい焼き戦争
6月に入って梅雨の時期になった。
毎日雨続き。
雨のにおい。
じめじめして湿っぽい空気。
ちりちりしてまとまらない髪の毛。
それでも教室の中は元気一杯に女子たちが騒いでいる。
昴がこの学校にお嫁さんを探しに来た…その噂は今もまだ健在で、でも昴は上手く誤魔化しながら過ごしてきた。
私も特に深入りすることなく今まで通り…普通に。
部室では梅雨のせいではないどんよりとした空気が充満していた。
「お、思い付かない…」
「それではこうしたら…」
「そうすると色々なつじつまが合わなくなるんだ」
絶賛お悩み中のお2人。
向川部長とまーくんだ。
体育祭も終わって大会まで約1カ月となった。
赤ずきんのアナザーストーリーが上手く決まらないらしい。
そろそろ練習をし始めないといけないということで凄く焦っている。
「きょ、今日はもう休みにしよう…
誠は残って考えるぞ!」
「はい!」
結局部活もなくなって、かえで君と帰ることになった。
「2人凄く悩んでたねー」
「そうだね…私たちも何か出来れば良いんだけど…」
変に意見して余計悩ませたら嫌だしね…
「それにしてもじめじめしてるなー…」
「もうすぐ梅雨入りってテレビで言ってたよ」
今は雨こそ降っていないが湿度は高そう。
空気が重い。
せっかく早く帰れるのにどこかに寄ろうという気が全く起こらない。
「今日は真っ直ぐ家に帰ろっか」
「うん、そうだねー
せっかくこんな早く鈴姉ちゃんと帰ってるのに何かもったいないや」
ぶーと頬を膨らませて歩くかえで君の横顔を見ながら、早く梅雨が明けたら…と時が経つのを強く願った。