恋はたい焼き戦争
朝まーくんに会うと、げっそりした様子だった。
目の下には少しくまがあって、覇気がない。
「お、おはよう…大丈夫?」
「昨日頭を使いすぎたから今日はもう働かないだろうな…」
はあーとため息混じりに言う。
「何時まで残ってたの?」
「学校には20時まで残って、そのあとは携帯でずっとやり取りしていた。
おかげで台本も完成したんだが…」
私たちが昨日帰ったのは15時くらい。
5時間もあのまま考えてたんだ…
「お疲れだね、ありがとう!」
「ああ…」
ふらふらと家を出ようとするまーくんの肩を持ってドアを開けると、ちょうどかえで君も来てくれえ2人で支えながら駅に向かった。
駅からは自分で歩くと言い張って聞かないまーくんの様子を見守りながら学校に入った。
「やっと着いた…」
自分の席に座って机に突っ伏せる。
私も一息ついて席に向かおうとすると、まーくんは突っ伏したまま顔だけをこちらに向けて
「ありがとうな、鈴。
助かった」
力があまりこもっていない声。
それに、どこか顔が赤いような?
私が気になって彼に手を伸ばすと
「な、なんだ?!」
凄く驚いていたけどお構いなしに額を触る。
「あっつい!」
火傷しそうになるほど熱い。
自分の額と比べる必要もないほど異常に熱いのがわかった。
「まーくん、保健室行こ!絶対熱あるって!」
「ま、また立たせるのか…?」
「結局、授業の最初と最後は立って挨拶するじゃない!
立つのがしんどいなら帰った方が良いよ?」
そう言っても嫌そうな顔をして動こうとしない。
「まーくん…このまま授業受けてもしんどいのはまーくんだよ?」
「いやでも俺が授業を休むわけには…」
自分が学級委員だからこその意地か、ただ授業を受けたい真面目だからなのか…
私が無理矢理にでも彼を引っ張ろうとすると急に軽くなった。
振り替えると昴がまーくんの体を持ち上げていたから。
「学級委員がクラスの子を困らせてどうすんだよ。
ほら、保健室行くぞ」
「あっ、おい…!」
それでもその場にとどまろうとするまーくんに昴は顔を近付けて何かを言った。
「は、はああ?!」
顔を真っ赤にしたまーくんは自分で行く!とふらふらしながら歩き、前にいた私を抜かして先に行ってしまった。
そんな彼を後ろから見守りながら昴と共に保健室までついていった。
「さっきはありがとね。昴がいたおかげで助かったよ。
でも…あの時まーくんに何を言ったの?」
帰り、昴の隣を歩きながら問う。
「ああ。自分で歩けないならお姫様抱っこしてやろうかって言ったんだよ」
嬉しそうににやにや笑いながら答える。
まあ…こいつならやりかねんと思ったんだろうな。
だからあんなに顔真っ赤になってたんだ。
まーくんは予想通り37.5℃の熱があり早退することになった。
彼の鞄に今日ある授業のノートだけを入れて保健室に届けに行く。
まーくんはベッドで寝ているようだったので起こさないように
「お大事にね」
と言って教室に戻った。
今日は気合い入れて板書しなくちゃ!
自分の席で一つ伸びをして授業に臨む。