元カノがめんどくさい

「…

わかりましたっ。いいですよ？」


あまりにもアッサリした応答に…

泣かせてしまうだろうと懸念してた僕は、少しだけ拍子抜けする。

その矢先。


「その代わり。

自分の気持ちに、素直になって下さい」

と、思わぬ要求。


「え…？」


「蓮斗さんの事が好きだから…

その心が誰に向いてるのか、わかっちゃいますっ」


ドキリとしたのと同時。

瞬時に鍋パーティーが浮かんで…
誘った事に、今さら申し訳ない気持ちが押し寄せる。



「それに…
気付いてました？

蓮斗さん、１度も好きだって言ってくれませんでしたよっ？」



うん…
そうだね。


今までの彼女には言えたけど。

でも奈々の事は、ほんとに大事にしたいと思ってたからこそ…
そんな本気じゃない"好き"なんか、軽く口にする事が出来なかった。



「…ごめん」


「謝らないで下さいっ…
もともと私が、半ば強引に付き合ってもらったんですから。

何より。
私なりに精一杯頑張ったので、後悔はしてません。
やれるだけやったら、後悔なんてしないと思いませんかっ？」


罪悪感でいっぱいの僕を…
天使の声がそう救う。