増えた記念日
今挨拶してくれた3つ年上の篠沢(しのざわ)さんは私が密かに憧れている人だ。

篠沢さんは今年の4月に札幌支店から東京本社に異動してきた。

180センチあるという身長は155センチしかない私からすると見える世界が違うのではないかと、憧れの一つである。

私はくせっ毛で縮毛調整しているから、篠沢さんのサラサラな髪質にも憧れている。

それと少し茶色っぽい瞳にも憧れている。

外見だけでなく内面にも良いところがたくさんあって、篠沢さんの良いところなら誰にも負けないくらいたくさん言える自信がある。

そんな憧れの人だけど、普通に話かけてくれるから毎日オフィスに来るのが楽しい。


「今日から11月だね」


「そうですね」


「ん? このマークはなんなの? あれ、ここにも違うマークがあるね」


「えっ? あー、それは……」


篠沢さんは私の卓上カレンダーにある私だけのマークを指差す。

このカレンダーには会議とか伝票や提出書類の締切日とかが書いてある。
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