ベル姫様と溺愛ナイト様
扉がノックされ、ベルが開けると、ジェミロがずかずかと入ってきた。

「おーいレイ、大丈夫か?
薬買ってきたんだけど、これ食後服用なんだよな。
食欲はあるか?」

目の前で薬の袋を振ってみせるジェミロに笑ってしまう。
心配してくれてはいるんだろうけど、態度がいつもと変わらない。

「食欲か……。
あんまりないけど、早く治さないと……。
ナイトの称号をメロゥに奪われかねない……」

苦笑いを浮かべながら、本音が漏れる。

「? ま、よくわかんねぇけど治りたいって気持ちは大事だわな。
じゃ、食べやすそうなもん作って来るから」

ジェミロが部屋を出て行ったのを見送って、熱で眠気に襲われたレイは食事まで寝ることにした。

「……ベルを助けるのは、俺なんだから……」

そんなレイの寝言を聞きながら、ベルは優しくレイの手を握った。

「わたしのナイトは、レイだけだよ?」
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