ベル姫様と溺愛ナイト様
「凄い……!」

城門をくぐり、3人は城を近くからまじまじと見上げた。
ベルの中であやふやだったイメージと、レイが覚えていたイメージを混ぜ合わせた城がそこにある。

「入ろう、中が気になる」

暫く城を見上げた後、メロゥが言った。

「ええ……、そうね……」

「だな」

その時、ベルがレイの腕にぎゅっとしがみついた。
レイがベルにくっつきたがるのはいつものことだが、ベルが人前でレイにくっつきたがるのは珍しい。
それだけ不安と期待が入り混じっているのだ、と認識している男2人は彼女に何を言うでもなく、歩を進めた。

「わっ……」

大広間には大きな白いソファ。
幼いベルの、お気に入りの場所のひとつだった。

よくここで昼寝をしたり、絵本を読んでいたりしていたっけ。
メロゥはソファを見つめて小さな姫を思い出し、くすりと笑みを零した。
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