ベル姫様と溺愛ナイト様
白い城内に映える、紺色の絨毯に、煌びやかで、それでも派手すぎない洗練されたシャンデリア。
大広間の奥には2階に続く階段がそびえ立っている。

「ここは間違いなく、ラス城だ……。消えた神秘の国の、ラス城……」

不安そうにレイにくっつくベルも珍しいが、興奮冷めやらぬ様子のメロゥも珍しい。
いつも冷静な兄貴分である彼が、城内を見渡してさっきから落ち着かない。

「落ち着けよ、メロゥ」

「そうは言われても……」

あまりにキョロキョロと辺りを見渡す様子をレイに咎められる。
頭を掻きながら「見てまわろう」と、歩き出した。

「置いてくなよ、待てって」

「メロゥ、珍しいね?きっとドキドキしてるんだね?」

今度はメロゥの後ろを2人が付いて歩く。
2人よりも城を、城に住んでいた人たちをよく知っているメロゥは、いてもたってもいられないようだ。
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