アンティークドール



「じゃあ、私たちはこれで……」


『はい』



母さんは俺をせっせとせかすと、ドアまで押しやった


俺は一番先に外に出された


窓越しにアンティークドールがうっすらと見え、悲しそうな顔が浮かんでいた


どうしてあんな泣きそうな顔で見るんだ?


彼女は人形なのに…



目の前には横断歩道


白と黒とのシマ模様が、月明りに照らされて辛うじて見える


信号が赤になる


少しあとに歩行者信号が青くなった



「満……母さんね…」


母さんがそう言いかけて、横断歩道を一番先に渡ろうとした


赤いはずの信号が、なぜか黄色光に照らされてギラギラと光った





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