QUEEN of the JOKER




キーンコーンカーンコーン…




お昼ご飯のチャイムが鳴って数分。


「瑞希!一緒にお昼ご飯食べよ!」


「あー!ズルいよ、琴葉!俺も一緒に食べるー!」


「謙也には夏也がいるでしょー!瑞希、ここ座っていい?」


「あ、俺も俺も!机くっ付けよう!」


……騒がしい。


謙也もそうだけど天森さんってこんなに元気だったんだ。


化粧をして、イヤリングを付けて、髪を巻いている目の前の彼女が、あの時族に襲われていた少女には見えない。


だけど、性格はこっちが本来のものなのだろう。


「何で俺まで…」


「夏也もご飯食べないと俺がもらっちゃうよー?あ、瑞希!その卵焼きもーらいっ!」


「あーっ!あたしの卵焼き…!!」


今日は味付け上手くいったのに…!!


「けーんーやぁぁぁ……」


「うっ!ごめんごめんって!お詫びに俺のあげるから!はい、苺ジャム!」


「菓子パンの食べかけなんていらないよ!」


「はい、瑞希」


あたしのご飯の上に海老フライがちょこんと置かれる。


「私のあげる!」


目の前で優しく笑う天森さんはどこか幸せそうで、嬉しそうだった。


置かれた海老フライを箸で取り、口に運ぶ。


「…!美味しい…」


「ホント?良かったぁ!」


ホッとしたように笑う彼女はまるで天使のようで。


「あ、天森さん、これお返し…」


「わぁ!ありがと!」


一つ一つに笑顔を向けて。


それにつられて、あたしも笑ってしまって。


久しぶりにこんな気分になった気がする。
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