白い雪が降り積もるように
「……君は親友と思っていた人に裏切られたことがある?」
穏やかな声なのに、何処か寂しさの感じる声。
無いという訳ではないけど、あの子は私が勝手に親友と思っていただけだし、裏切られたと思っていない。
私の返答が無いことに何かを察したのか、蓬條依良はクスリと笑った。
「俺はあるよ……。一番裏切られたくない人に裏切られたんだ」
哀愁に満ちた彼の背中を後ろからただ見ていた。
ただ、その紡ぐ言葉を聞いていた。
それをどう思ったか分からないけど、蓬條依良は過去のことを話し始めた。
その話は彼にとって思い出したくもない半年前のものだった──。