白い雪が降り積もるように


病室は寂しいくらい殺風景だったのに今は床一面に様々な花びらが散らされていて、壁も白いリボンや布で飾り付けられていた。




その壁の一角にはお姉ちゃんと拓実さんが映った写真が飾られている。





そして、ベッドには純白のウェディングドレスに身を包んで眠るお姉ちゃんがいた。




その姿はまるで、眠り姫のようだ。




「綺麗だよ、春陽……」




念願だった最愛の人の人生で一番綺麗な瞬間を見れた拓実さんは涙を流していた。




「それでは始めますか」





蓬條依良が声をかけたことで、少ないながらも盛大な結婚式が行われた。




形だけかと思いきやちゃんと牧師さんまで来ていて、本当の結婚式のように執り行われた。





最後に誓いのキスがあった。




お姉ちゃんがもし眠り姫ならこれで目が覚める。




でも、拓実さんがキスしてもお姉ちゃんが目を覚ますことはなかった。





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