ナンパボーイズ
そんなの無理だ。私がとーたを呼び出せるはずがない。
だいたい呼ぼうにも、電話もメアドもLINEも何も知らない。
そもそも、同中とは言えろくに口を利いたことさえないんだから!
絶体絶命。
ふたたび命が、風前の灯火に。しかし意外にも、助け船をくれたのはこの男たちだ。
「そういやオンナの名前、聞いたことあったな。確か――」
「ああ、オレも知ってる」
「……!?」
そのやり取りでハッとした。
「伊藤優香。ねえ、とーたの彼女の名前って、伊藤優香でしょ?私。……ほら証拠」
心臓はバクバクして、体を冷や汗が流れたけど、今度は冷静を装って、カバンから生徒手帳をだした。
名前の欄を、2人の目前に見せつける。
「ほらね?私」
「…た、確かに。けどよ、」
「まだ信じない?じゃあここにとーた呼ぶ?でもそうしたら、あなた逹ボコボコにされちゃうかもしれないけど」
最後のはったりが効いたらしい。2人が息を飲んだのが分かる。
「悪かった!姫だなんて、マジ知らなかったから…」
「オレらのことは……東田くんには言わないで、お願い 」