ほしの、おうじさま
かといって「ラッキー。この後ちょっと遊んでから帰ろう」などと浮かれ気分でいる人は少数派だろうけど。

精神的な意味合いはもちろん、物理的にそんな暇などない人達が多数存在する。

明日から1週間、それぞれの勤務地にて新入社員研修が行われ、それを経てから各部署に配属になるのだけれど、式には当然、都内とその近郊だけではなく、遠方から参加している社員もいる訳で。

というかむしろ、比率的にはそちらの方が多く、その中でも特に最南端、最北端からの遠征組は翌日からの業務に差し支えがないよう式が終わり次第速やかに帰路につかなければならない。

つまり入社式の為だけに上京し、それが終わったら強行軍で家路をたどり、十数時間後には社会人としての初任務に就いていなくてはいけないのだから、しょっぱなからかなりのハードスケジュールなのだ。

呑気に観光などしている場合ではないだろう。

しかし、そうなる事は会社説明会の段階できちんと明らかにされていて、「それに対応するのが難しいようでしたら申し訳ないですが我が社とはご縁がなかったという事で…」と担当者は語っていた。

つまりやんわりと遠回しに「不服があるならウチを受けるのはやめときな」と通告された訳だ。

その代わり、勤務地は極力本人の希望を尊重してくれる。

「東北地方で働きたかったのに九州地方になってしまった」というような事はめったにないようだ。
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