ほしの、おうじさま
☆☆☆
その後落ち着かない気持ちを必死になだめすかして仕事を進め、どうにかこうにか午前の業務は無事に乗り切った。


「じゃ、俺は社食に行ってくるから」

「はい」


渡辺さんとは一旦離れ、お弁当持参組の女性の先輩方と共にランチタイムに突入する。

室内には他の部署の人や来客を通したり、ちょっとしたミーティングが行えるように長机と椅子が設置され、パーテーションで区切られている通称「面談スペース」が三ヶ所あり、その中の一つ、一番奥側となる場所でかたまって食べているのだ。

宣伝部全体、つまりマーケティング課だけではなく宣伝課と広報課の先輩も合同なのだけれど、それでも人数はとても少ない。

まず宣伝課は総勢9名、広報課は6名、マーケティング課はオペレーターさんは別として8名で、女性の人数はそれぞれ4、3、3となっている。

そしてその中には社食を利用している方や、日によって外出してしまう方もいるし、また、マーケティング課には早番遅番があるので誰かしかは昼休憩のタイミングがずれる為、12時から13時の間に当該スペースで過ごす女性は常時4、5人である。

男性陣はどうしているのかというと、やはり外回りで抜けたり、その予定が無い時は基本的に社食、という人がほとんどで、お昼持ち込みの人はごく少数であり、女性グループに混ざったり男性だけで一ヶ所に集ったりする事なく、各々自席で食べていた。
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