ほしの、おうじさま
自分のペースで黙々と食べ進め、お腹を満たした後は雑誌を見たりお昼寝をしたりして自由気ままに過ごしているのであった。

基本的に、他人と会話を交わしながら食事を摂ったりわざわざ別の場所に移動するのが煩わしいからこそお弁当派なのだろうから、その行動は充分に納得できる。

女性ももちろん自分の席で食べても良いのだけれど、「同じ室内に居るんだからどうせなら一緒に食卓を囲みましょうよ」と初期の頃に誰かが提案し、以後それが定着したらしい。

新入社員研修の時もそうだったし、やはり女性が何人か集まればそういう発想になるのだな、と改めて認識した。

ちなみに派遣の女性達は、オペレーター室内に休憩用のスペースがあり、なおかつ大人数に対応しているのでそちらでお昼を食べたり休息したりしている。

派遣さんも当然社食の利用は可だけれど、それでもほとんど皆さん自作かコンビニ等のお弁当を持って来ているようだ。

担当以外の者が気軽にオペレーター室内に足を踏み入れる行為は禁止されているし、また、派遣さんがこちらの面談スペースに合流するとなると椅子の追加が必要になり、かなり手狭になってしまうので、お昼に関しては正社員とは完全に別行動を取っているのだ。


「どう?星さん。仕事の方は」


飲み物を淹れたりお弁当を温めたりした後、全員が席に付き食事を開始した所で、広報課の斎藤さんがそう問いかけて来た。
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