ほしの、おうじさま
しかし、それまで淀みなく張りのあった口調はそこで若干愁いを帯び、表情もそれと連動するように哀しげなものになった。

「また、今回の件は上層部にも報告しておりまして、そちらからの厳重注意と、そして本人に反省文を書かせて提出させるという処分が下される事になったのですが、それでご納得いただけますでしょうか?」

その問いかけの後、高橋さんは一旦口を閉ざす。

「……さようですか。寛大なご意見、誠にありがとうございます」

しばしの間の後、高橋さんの表情は『ぱぁ~』っと晴れやかになり、同時に発した声には力強さが復活していた。

「今回はお客様の貴重なお時間を奪い、多大なるお手数をおかけしてしまいまして、本当に申し訳ない事をいたしました。今後はこのような事が起こらないよう、全店舗スタッフの教育体制の強化を図ると共に、彼らをサポートする立場である私共ももちろん精進して参りますので、宜しければ今後も我が社とお付き合いいただければ幸いです」

再びしばしの間を置いてから高橋さんは言葉を繋いだ。

「それでは本日、マーケティング課高橋がご報告をさせていただきました。貴重なお時間頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。失礼いたします」
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